アメリカ生まれの「ミスタードーナツ」とFire-King|日本で育ったドーナツ文化を楽しむマグ
ファイヤーキングには、企業やショップのロゴが入った「アドバタイジングマグ」、いわゆるアドマグがあります。
今回紹介するのは、その中でもちょっと面白い一品。
ミスタードーナツのFire-Kingマグです。
白いミルクガラスに、青とオレンジの「mister Donut」ロゴ。
そして、底を見ると……
ANCHOR HOCKING アンカーマーク Fire-King OVEN-PROOF MADE IN U.S.A
しっかりアメリカ製のFire-Kingです。
でも、ロゴは日本人なら誰でも知っている「ミスタードーナツ」。
この組み合わせが、なんとも面白い。
実はミスタードーナツも、もともとはアメリカ生まれ。
そして日本では、あの「ダスキン」が事業として育てていきました。
今回は、このマグを眺めながら、ミスタードーナツのアメリカでの誕生から、日本での歴史、そしてFire-Kingとの関係を少し振り返ってみます。
ミスタードーナツは1955年、アメリカで始まった
ミスタードーナツ・オブ・アメリカを創業したのは、ハリー・ウィノカー氏。
もともとは公認会計士でしたが、その後フードデリバリーやパン・菓子の製造などに携わり、1955年、ボストン郊外に最初のドーナツショップをオープンしました。
ここが、現在のミスタードーナツの原点です。
ちなみに、アメリカには似たようなドーナツチェーンがあります。
そう、Dunkin’ Donuts。
こちらもマサチューセッツ州クインシーで1950年に始まったブランドです。
実はミスタードーナツとダンキンには、創業者同士の親族関係もあり、アメリカでは両者が競い合う時代がありました。
ところが、その後アメリカのミスタードーナツは1990年に買収され、北米の多くの店舗がダンキンへ移行。
一方で、海を渡った日本のミスタードーナツは、まったく違う道を歩むことになります。
ここが、なんとも面白いところです。
そして日本では「ダスキン」が始める

ミスタードーナツを日本に持ってきたのが、現在のダスキンです。
ダスキン創業者の鈴木清一氏は、フランチャイズビジネスを学ぶために渡米。
そこでハリー・ウィノカー氏と出会い、アメリカのドーナツ文化に触れます。
最初は、
「掃除用品の会社が、なんでドーナツ?」
という話です。
そりゃそうです。
モップとドーナツ。
普通に考えれば、かなり遠い(笑)。
ところが鈴木氏は、アメリカで食べたドーナツと、店内のお客さんの楽しそうな様子を見て、日本でもきっと喜ばれると考えます。
そして1970年1月27日、ミスタードーナツ・オブ・アメリカとの事業提携を決断。
これが日本のミスタードーナツのスタートです。
1971年、日本1号店がオープン
そして1971年4月2日。
大阪府箕面市に、ミスタードーナツの第1号店「箕面ショップ」がオープンします。
アメリカ生まれのドーナツチェーンが、日本にやってきた瞬間です。
しかも当時の日本では、ドーナツ自体が今ほど身近な食べ物ではありません。
ミスタードーナツは、そんな日本に「ドーナツとコーヒーを楽しむ時間」を持ち込んでいきました。
1973年にはフレンチクルーラーが発売され、1974年には店内飲食用の陶器カップやティースプーンも導入。
そして1975年には、今でもおなじみのオールドファッションが登場しています。
こうしてミスタードーナツは、アメリカからやって来たブランドでありながら、少しずつ日本の生活に馴染んでいきました。
そして、このFire-Kingマグ


ここで、今回の主役です。
白いミルクガラスに青とオレンジで描かれた、
mister Donut
のロゴ。
そして底には刻印があります。
■刻印:ANCHOR HOCKING アンカーマーク Fire-King OVEN-PROOF MADE IN U.S.A
■製造年代:1960年代中期~70年代中後期
■希少価値:★★★★☆
■参考価格:¥22,000〜


Fire-Kingそのものは、1941年にアメリカ・オハイオ州ランカスターのアンカーホッキング社で誕生。
家庭用食器だけでなく、レストランウェアや企業のアドバタイジングマグなどにも使われ、アメリカの暮らしの中で広く親しまれました。アメリカでの生産は1986年に終了しています。
つまり、このマグには、
アメリカ生まれのFire-King
と
アメリカ生まれのミスタードーナツ
が一緒に入っている。
さらに、そのミスタードーナツを日本で育てたのがダスキン。
なんとも不思議な「日米合作」です。
このマグ、形もなかなか面白い


今回のマグは、一般的なDハンドルマグとは少し違います。
底の部分がギザギザした、いわゆるリブボトム。
この形がまたヴィンテージ感たっぷり。
そしてロゴは、現在のミスタードーナツとは違う昔のデザイン。
青とオレンジの組み合わせも、いかにも昭和レトロ。
このマグを見ていると、
「昔のミスドって、こんな雰囲気だったよな」
と感じる人もいるのではないでしょうか。
もちろん私は、マグを見ながらドーナツを食べたくなります。
そこは歴史とか関係ありません(笑)。
アメリカでは消えて、日本では残った
ミスタードーナツの歴史を知ると、さらにこのマグが面白くなります。
アメリカで1955年に始まったミスタードーナツは、1990年にダンキン側へ吸収される形で北米でのブランド展開が大きく変わりました。
ところが日本では、1971年に始まったミスタードーナツがダスキンによって独自に発展。
フレンチクルーラー、オールドファッション、そして2003年にはポン・デ・リング。
日本人の好みに合わせながら、独自のドーナツ文化を作っていきました。
つまり現在の日本のミスタードーナツは、
アメリカからやって来て、日本で大きく育ったブランド
とも言えます。
Fire-Kingで見ると、もっと面白い
私がFire-Kingを好きなのは、こういうところです。
単なる「古いマグ」ではなく、
そのロゴの向こう側に歴史がある。
今回のマグなら、
1955年アメリカでミスタードーナツ誕生
1970年ダスキンが日本での事業提携を決断
1971年大阪・箕面に日本1号店
そして、このマグ。
アメリカで作られたFire-Kingに、日本でおなじみの「mister Donut」のロゴが入っている。
そう考えると、ただのノベルティマグではなく、アメリカと日本のドーナツ文化をつないでいるような存在に見えてきます。
ドーナツとコーヒー、そしてFire-King
Fire-Kingのマグにコーヒーを入れて、横にドーナツをひとつ。
これだけで、なんだか完璧です。
しかも今回のマグなら、
「ミスドの歴史をFire-Kingで味わう」
という、ちょっと変わった楽しみ方もできます。
アメリカで生まれたミスタードーナツ。
日本でダスキンによって育ったミスタードーナツ。
そして、そのロゴを載せているアメリカ製のFire-King。
こういう背景を知ってから眺めると、ヴィンテージマグはますます面白くなります。
何気なく使っていたものにも、実は長い物語がある。
だからFire-Kingはやめられません。
……まあ、この記事を書いていたら、ドーナツが食べたくなってきたんですけどね(笑)。


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